「旧暦って言うぐらいだから、古い昔の暦なんでしょ?」
そう、日本では明治5年(1872年)まで使われていました。この年から今の、いわゆる「西洋暦」が使われ始めて、みんながこれを「新暦」と呼んだものだから、それまでの暦は自動的に「旧暦」になってしまいました。
「ちょっと例えは変だけど、食べられるために生まれてきたわけじゃないのに勝手に『食用カエル』って呼ばれてるカエルさんみたいで「旧暦」って呼ぶの、ちょっとかわいそうね…。」
「旧暦は、日本の四季に合うっていうけど、どういうことなの?」
はい。旧暦時代の春は1、2、3月のことなんです。
「ワタシ、春というと3、4、5月だと思ってた!」
今でも、年賀状で「新春のお慶び申し上げます」って書きますよね。それは旧暦の1月1日が春の始まりだったからなんですよ。また、旧暦では、4、5、6月が夏で、夏の終わりのカラカラ天気の6月は「水無月(みなづき)」と名づけられています。今は6月は梅雨なんだから全然、変ですよね。
「それじゃあ、『中秋の名月』っていうのは秋の真ん中の満月のこと?」
その通り!7、8、9月が秋だから、中秋の8月15日の月を「中秋の名月」と呼んだんですね。
「でも今じゃ12月で冬が終わったなんて感じしないよね。これから寒くなるって感じだもの。」
そう、今の暦と旧暦では、季節が1ヶ月から1ヶ月半ずれてるんですね。新暦で日本人の「季節感」はガタガタになってしまいました。でも、和歌や俳句をやっている人達は、季語季題を旧暦でやってるから、日本の四季の変化をうまくとらえている人が多いですよね。